しゅいその「140文字だけじゃ伝えられない思い」

しゅいそが作った動画作品や好きなものを紹介します

しゅいそボカロPデビュー10周年記念楽曲とともに今までの活動を振り返ってみる

今日、2019年3月20日はしゅいそが初めてVOCALOID曲を発表してから丁度10年目の記念日になります。その記念日にあわせ、こちらの動画を投稿しました。

私が本格的にボカロPとして活動始めた2017年頃のことは下記の記事などで書いてますが、それ以前のことってあまり書いたことなかったですね。
初音ミクオリジナル曲『もっと歌いたい』制作の裏側とか

そこで、10周年を迎えた記念に上記の曲紹介を交え、これまでのボカロPとしての私の活動を振り返ってみたいと思います。

新曲『ミク・ミク・じゃん! (Reach for the Top Mix)』の紹介

『ねこ・ミク・じゃん!』という曲が原曲なのですが、実は以前に一度リメイクしていたりします。なので、原曲に忠実なアレンジをしても面白みがない、ということでかなり大胆にアレンジを加えてみました。
ミキシングも昔に比べて上達したので、別の曲と言っても良いくらいに変わっていると思います。

この曲はかなりはっちゃけた歌詞でして、例えば「ホーラね 東(トン)の風が吹いたら 断幺九(タンヤオ)が隠し味」なんてフレーズ、当時どうやって書いたかは覚えていませんが、今の私にはまず書けない歌詞だと思っています。
なので、今回は「やりすぎ」ってくらいオーバーに、はっちゃけた歌い方にしてみました。
原曲だとほぼベタ打ちでしたが、こちらではかなり手を加えていて、同じミクさんとは思えないくらい印象が違って感じられると思います。(原曲はVOCALOID2でしたが)

あと説明文にも書きましたが、猫要素は歌詞にまったくないのでタイトルと歌詞を修正しました。歌詞がアレな部分も修正しているので、お子様でも安心して聞けるようになりました。(果たして私の曲がお子様にウケるかどうかは疑問ですが)

イラストも気合入れて描きました!そういえばVOCALOID2のパッケージのミクさんはかなり久しぶりな気がします。
動画にはあえて昔の絵を入れてみました。それらは全て、過去の『ねこ・ミク・じゃん!』で使用されたものです。昔の絵はお世辞にも上手いとは思いませんが、今の絵と比べてその進化を感じていただくのも面白いと思います。(今の絵もまだ納得はしてないですが)

さて、原曲である『ねこ・ミク・じゃん!』がなければこの曲も、これまでのVOCALOID曲も存在しなかったと私は思っています。
最初の曲がどのようにして生まれたのか、そして今回の曲が生まれるまでどのような活動をしてきたのか、過去の作品と共に紹介していきます。

しゅいそ、ボカロPデビューのきっかけ

私が始めてVOCALOID曲を公開したのは「BEAT VOCALOIDs」というイベントがきっかけでした。
BEAT VOCALOIDs

「BEAT VOCALOIDs」はVOCALOIDオンリーのBMSイベント。
BMSというのは音楽ゲーム用のフォーマットのことで、そのBMS専用のファイルという形で発表しました。同梱されているreadme.txtには以下のような記載がありました。

ミクが歌う麻雀ソングってあまり無いなあ、と思って作りました。
なぜ「ねこミクじゃん」になったかは秘密です。
曲調はまあ、ありがちな感じですね。

『ねこ・ミク・じゃん!』BMS同梱のreadme.txtより(2009年3月20日

当時、私の中で「ミクさんが歌う=ミクさん自身のキャラクターソング」というイメージが定着していました。私がミクさんを知るきっかけになった『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』や『恋スルVOC@LOID』といった楽曲の影響でしょうか。
それらのイメージに縛られない曲を、ということで「麻雀」をテーマに選んだ記憶があります。
「ありがちな」曲調というのは、音楽ゲームで当時「ハッピーハードコア」と呼ばれるジャンルが流行していたということがあります。
「麻雀」というとっつきにくいテーマを受け入れてもらうために、アレンジは親しみやすさを大切にしよう、といった意図がありました。

また、readme.txtには以下のような記載もあります。

私は2年前にミクを購入しましたが、ほとんど起動すらせず月日が過ぎ…
これではもったいないと思い、何か一曲歌わせてみようと決意。

歌モノは初挑戦で、歌詞だけで何日もかかりました。
さらに歌モノのメロディーはインストゥルメンタルと性質が異なり…苦戦。

ある日メロディーを考えているとき、
VOCALOID楽曲オンリー」という素晴らしいイベントに出会ったのです。
これは参加するしかない!と大急ぎで仕上げました。

今までインストゥルメンタルの楽曲しか制作したことがなかった私は「歌モノ」というものは全くの初挑戦で、色々と苦労した記憶があります。
歌モノならではの展開の仕方、メロディの書き方、さらには歌詞まで・・・今は苦労もなく歌モノを書けるようになりましたが、苦労した当時の経験が今に活きているのかもしれないですね。

余談ですが「2年前」というのは2007年頃で、初音ミクの名がネットで瞬く間に広がった時期でもあります。
VOCALOID2 初音ミク」は当時DTMソフトとしては異例の大ヒットで、品切れが相次ぎ入手困難になったほどだったそうです。私が手に入れたのはそれらが落ち着いた頃だったと思います。

前述のとおり、最初はオリジナル曲を歌わせるつもりでメロディだけは出来ていました。しかし前述のとおり、歌モノを作ったことがない私は歌詞が全然作れず、かなり難航していました。
VOCALOID楽曲オンリー」というイベントの存在を知ったからこそ、「絶対に仕上げるぞ」というモチベを維持できたのだと思います。そう考えるとこのイベントがなければ、今はボカロPとして活動してなかったかもしれませんね。
それくらい、このイベントには今も感謝しています。

その後のボカロPとしての活動

実を言うとそのイベントの後、ボカロPとしての活動はパッとしないものでした。
というのも、もともとインスト出身だったためか、頭に浮かぶのは歌詞なしの楽曲ばかりでした。

ただ、『ねこ・ミク・じゃん!』という楽曲は個人的に気に入っていて、何度かリメイクして投稿しています。

こちらはイベントの約半年後に投稿したもの。
タイトルそのままですがこの頃DAWを本格的に導入していて、アレンジはほとんど変えずにシンセなどを差し替えたものです。

こちらはさらにその4年後、原曲の雰囲気を残しつつも全体のアレンジを見直し、フルバージョンとして生まれ変わったものです。
タイトルにAPPENDとついてますが、「初音ミク・アペンド」とは関係ありません。
追加された2コーラス目の歌詞は、私が読んだ麻雀漫画の影響を受けたものになっています。

また上記のフルバージョン制作と同時に、BMSもリメイクしました。
イベントのときに色々なアドバイスをいただきまして、それを参考にして制作しています。

最初の作品から4年間も空いてしまいましたが、決して制作活動を放棄していたわけではありません。
当時はオリジナルからアレンジものに活動の中心が移っていた時期で、純粋にアレンジの腕を磨いていました。オリジナル曲を作らなかった時期の活動も今の音楽制作に活かされていると、私は信じています。

その後、また4年ほど間が空いてしまいますが、2017年からは本格的にボカロPとしての活動を再開することになりました。

VOCALOID曲としては8年ぶりのオリジナルの新曲になってしまいました。
この曲が生まれた背景には「初音ミクV4X」との出会いがありました。そのときのことは以下の記事に書いているのでそちらをお読みください。
初音ミクオリジナル曲『もっと歌いたい』制作の裏側とか

前の作品から間が空くこと4年。その間は何していたかというと、アレンジものからオリジナルに路線変更の準備をしていた時期でして、昔に作ったインストのオリジナル曲をリメイクしていました。
というのも、この時期は全く新曲が思い浮かばなかったこともあり、リメイク制作を通してさらにアレンジやミキシングに磨きをかけることに専念していました。
そのときの経験が『もっと歌いたい』にも活かされていると思います。

初音ミクV4X」との出会いがあったからこそ、ボカロPとしての再出発のきっかけになったのです。しつこいくらい書いてますが、その出会いがなかったら、今またこうしてVOCALOID曲を書いている私はありませんでした。

この曲のことはあまり語ったことはありませんでしたが、「今まで違う路線を」ということで書いた記憶があります。
『ねこ・ミク・じゃん!』『もっと歌いたい』はいずれも明るいポップス路線でしたが、こちらは悲しい失恋ソングです。
正直私の中では「悲しい曲はウケない」という意識があったのですが、バリエーションに富んだVOCALOID楽曲が溢れる昨今、私が考える「王道」とは異なる曲のほうがインパクトがあるのではと思い、あえて悲しい曲にチャレンジしてみました。
ただ、私が暗い曲を作るとどこまでも暗い曲になりそうだったので、あえて明るい曲調の中に暗めの歌詞を入れてみることにしました。
結果として、「悲しさ」がより引き立つ曲になったんじゃないか、と個人的には思っています。

和風+ユーロビートという組み合わせ、実は先に和っぽいメロディーは出来ていたので「和風」で行こう、というのは当初から決まっていました。
組み合わせとして「ユーロビート」を選んだのは、以前からユーロのブラスの音色を研究していたこと、和とユーロという異質な組み合わせは面白そう、という理由です。(後から調べたら「和ユーロ」は実は結構存在するようでした)

あと、動画では久しぶりにイラストを披露しています。当時としてもイラストの出来にあまり納得はしていなかったのですが、だからこそイラストももっと上手くなろうと決心しました。
この曲はイラストに本気で取り組むきっかけを私に与えてくれた、私はそのことに感謝しています。

気づけばミクさんも十周年ということで、何かお祝いしたいということで作品を制作しました。
そのときのことは以下の記事に書いたので、そちらをご覧ください。
初音ミク十周年記念オリジナル曲『ありがとうアニバーサリー』の制作秘話とか

私らしい作品を、ということでテーマは「吹奏楽」に決まりました。
『HIRARI』もそうですが、VOCALOID楽曲が溢れる状況でいかに個性を出していくか、を課題にして制作に取り組むようにしています。VOCALOIDを使用したオリジナルの吹奏楽曲ってあまり無さそうですし・・・

動画制作にあたり、イラストについては3名の方々にお手伝いいただいています。一人では完成できなかった作品なので、皆さんにはとにかく感謝しかありません。

余談ですが、この曲が投稿されたその次の月、動画に登場する4人のミクさんに新しい仲間が増えました。「初音ミクV4 CHINESE」さんです。いつか中国語を勉強して歌わせてあげるのが私の夢だったりもします。

動画説明文にも書いてますが、これはもともと没になっていた曲に歌詞をつけてアレンジしたものです。
歌詞は本当に自然に浮かんだという感じでしたが、ミクさんの可愛いらしい歌声と見事にマッチしたんじゃないかと私自身も納得しています。
元々がインストの曲を無理矢理歌モノに仕上げたので、間奏部分が1分という長さになってしまいました・・・
ほぼ無調声だったり、原曲からあまりアレンジに手を加えていなかったりと、実は制作自体はあまり手間がかかっていなかったりします。
にも関わらず現時点で唯一の1000再生超えと、多くの方に聴いていただけたのは本当に感謝しかないです。

この曲は「私が伝えたいこと」がテーマになっています。
ただ感情的になるだけでは相手には理解してもらえない、かといって相手に配慮しすぎても意図が伝わらない。だから私は疑問を投げかける形で歌詞を書きました。
私の曲の中でもかなり短い曲ですが、伝えたいことは十分に詰まっているはずなので、尺は大きな問題ではないと思っています。

この曲のメロディは夢の中で流れていたものをそのまま書き出しました。夢の中ではスウィング調の曲だったので、当初からスウィングで行こう、と決めていました。
私はふと頭にメロディが浮かぶことがあるのですが、基本的にメモを取ったりしません。浮かんだもので印象的なメロディなら数ヶ月でも覚えておく自信がありますし、仮に忘れてしまうようなものは誰の印象に残らないメロディだ、と割り切って考えるようにしています。

メロディとアレンジが先に決まっていて、これを「冬の曲」にしようと思ったのは本当に思いつきでした。制作時期は秋でしたが、ふと冬の曲が作りたいなと思い、冬はこのメロディが合いそうだなということで「雪」をテーマにすることにしました。

アレンジは極力シンプルになるよう心がけ、ピアノ、ベース、ドラムというジャズの最小構成になっています。
派手さはなくインパクトに欠けますが、「私らしさ」は十分に表現できたと思います。

思いつきと勢いで制作しました。

メロディは以前から頭に浮かんでいたものを使うことにしました。サビの「チョコレート」というフレーズもそのときふと浮かんだものです。
メロディは頭の中ですでに練っていたので、作詞、アレンジ、動画を2日間かけて完成させました。
のべ9時間という制作時間で、恐らく過去の作品でももっとも短い時間で完成したと思います。
アレンジではフリーソフトのソフトシンセを使用していたりと、お金もあまりかかっていません。
時間とお金を節約した曲でしたが、1~2ヶ月の制作期間や数万円のソフトを使用した曲にも負けないくらい、反応が良かったのが驚きでした。
改めて、楽曲にかけるべきは時間やお金だけじゃないんだな、と実感させられました。

ミクの日十周年にあわせて制作しました。
こちらを制作したときのことは下記の記事に記載されています。
初音ミクオリジナル曲『3.9秒のメッセージソング』の制作の裏側とか

サビのフレーズはパッと思いつきました。この曲に限らないですが、サビは悩まずに書けることが多いです。ふと頭に思いつくのもサビのフレーズが多いというのもあると思います。

あまり私はラブソング書いたことありませんが、メロディ、歌詞、動画それぞれに、私が考える「可愛い」要素を詰め込んだ曲になっています。
文字で書いてもあまり伝わらないと思うので、「可愛い」が好きな人はぜひ動画を見ていただければと思います。

私とDeaさんとで制作した曲のセルフアレンジ版です。

私個人のVOCALOID曲としてはちょうど十曲目になるのですが、たまたまそれが私の好きな季節である秋の曲となりました。
『HIRARI』の姉妹曲として制作した曲になるのですが、私のアレンジ版ではそちらと対照的なアレンジになるように意識しています。
いわゆる「哀愁系」とよばれるユーロビートになるのですが、ピアノを基調としたアコースティックな音色を中心にしていて、「ユーロビートっぽくないけどちゃんとユーロビートしている」その絶妙なバランスを探った曲です。
哀愁系+和風+ピアノ+ユーロビートと色んな要素を盛り込んだ意欲作です。

気合入れて制作した曲だったので、初の試みとして、PVを依頼して制作していただきました。

制作時のことは下記の記事に書いています。
初音ミクオリジナル曲『北のいちばんぼし』の裏側と、震災のときのおはなし

実はこの曲、私のところの「初音ミクV4X」さんに歌ってもらった初めての曲だったりします。投稿としては『もっと歌いたい』のほうが先になってしまいましたが・・・

実は原曲版のほうだとアレンジが異なるのですが、色々と納得いっていない部分もあり、アレンジについては一から見直しています。
調声についても初期の頃から進歩した部分もあり、『北のいちばんぼし』が私の納得できる作品として蘇りました。
間奏のフルートのメロディは原曲をそのままを流用していますが、これは原曲へのリスペクトだったりもします。

これまでの曲は割とノリの良い路線でしたが、ここで急にしっとりした曲を投稿した理由としては、「しゅいそ=ノリの良い曲」というイメージが固定されるのが嫌だったので、出来るだけ色んなジャンルに挑戦したかった、という背景があります。

人と人との繋がりを描いた曲です。

私としてはオーケストラ曲を公開するのはこれが初だったりしますが、「ミクさんにこんな曲が歌ってもらったら面白いな」という考えでこの曲が生まれました。
ただ制作はかなり大変でして、オーケストラの楽器の使い方を勉強しなおしたり、打ち込み自体もかなり時間がかかったりして、3ヶ月という期間をこの曲のために費やすことになりました。
私はオーケストラの要は「ストリングス」だと思っていて、まずストリングスアレンジで曲を作り、木管金管で肉付けしていく、という手法でオーケストラ曲を書きます。ラストの盛り上がるところも好きなのですが、1コーラス目のBメロで木管アンサンブルになる部分が個人的に気に入っています。

オーケストラってあまりウケ良くないかなと思っていたのですが、意外と好意的なコメントが多くホッとしているところです。

前の冬に引き続き、再び冬の曲を制作しました。

冬の曲は私が持っている従来の路線とは異なる流れにしたいと思っていて、基本的にアコースティックな音色を選択するようにしました。
バラードというのはほとんど作りませんが、私はメロディ作りに自信があったので、絶対バラードにも活かせると思っていました。
私の中では、ゆったりした曲よりもノリが良い曲のほうが一般的にウケる、という意識があったのですが、意外と反応が良くて驚いています。
雪と宝石をテーマにしていて、サムネにも描きましたが、2012年の雪ミクさんを意識しています。

私が好きな雪ミクさんが十周年を迎えるとのことで、お祝いする曲を制作しました。
私の雪ミクさんへの想いは下記の記事に書きましたので、興味があればどうぞ。
初音ミクオリジナル曲『雪の国からのプリンセス』の裏側と、雪ミクへの想いについて

過去に作った冬の曲はいずれもしっとりとした曲でしたが、お祝いする曲なら派手にしなきゃ、ということで明るいノリのポップスになりました。しばらくしっとりした曲の投稿が続いていたので、違う路線の曲が欲しい、という背景もありました。

余談ですが、私は曲を聴いて「色」が思い浮かぶことがあります。
『白い雪のおくりもの』『雪の国からのプリンセス』はいずれもハ長調ですが、私はよく「白」が思い浮かびます。
たまたまかもしれませんが、「白」は「雪」を連想させるということで、無意識にこの調を選択したのかもしれませんね。

以上、14曲+今回の新曲の紹介でした!
節目の年を迎えましたが、これからもボカロPとしての私、どうぞよろしくお願いします。