しゅいその「140文字だけじゃ伝えられない思い」

しゅいそが作った動画作品や好きなものを紹介します

初音ミクオリジナル曲『マジカルスノーマーチ』制作の裏側について

はじめに

前回の曲からだいぶ間隔が空いてしまいましたが、何とか新曲を公開できたので久しぶりに紹介記事を書いてみます。今年、赤い羽根×ピアプロコラボのキャンペーンソング採用なんかもあったりして、間が空いている感覚はあまりなかったのですが、新曲としては7か月ぶりとなってしまいました。

お久しぶりです!しゅいそ楽団です

今回は久しぶりに「しゅいそ楽団」名義を使用しました。実に4年ぶりのことです。

もし「しゅいそ楽団」をご存じでない方がいらっしゃいましたら、以下の記事で解説してますので、興味があればどうぞ。
初音ミク十周年記念オリジナル曲『ありがとうアニバーサリー』の制作秘話とか

前回から変わったことと言えば、新しいソフト音源を導入して「生の音により近づいたこと」です。その進化は『ありがとうアニバーサリー』と聴き比べていただければすぐに分かると思います。これでもかというほどガンガン鳴らしてますが、私が要求したとおりの音で鳴ってくれるので、作る方もかなり楽ができました。

以前の『ありがとうアニバーサリー』ではMIDIキーボードを使用して制作しましたが、1年くらい前から導入したウインドシンセサイザーが今回の制作では役立っています。それを初めて使用したのが『スノーホルンコンチェルト』という曲で、キーボードではできなかった繊細なニュアンスを表現することができました。最近だと『サマーブリーズ』という曲でもウインドシンセサイザーが活躍していますね。

この曲ではパーカッションパート以外を全てこのウインドシンセサイザーで演奏しており、各パートの入力には非常な手間がかかってます。確かに一つ一つの楽器をリアルに再現するのはDTMにおける理想的な姿ではありますが、時間がかかり過ぎて現実的ではありません。こんな面倒な真似をしようと思うクリエイターは、おそらく世界中探しても、ほとんど見つからないんじゃないでしょうか。なお、ウインドシンセサイザーが何なのかについては、以下の記事で書きました。
初音ミクオリジナル曲『スノーホルンコンチェルト』の裏側と、ホルンという楽器について

こんなことが実現できたのも、私が吹奏楽の音をDTMで再現したいという、私しゅいその並々ならぬ情熱があったからなのかもしれませんね。

NTミクさんがアップデートされました

ご存じの方もいるかもしれませんが、初音ミクNTのリリース当初、ボイスライブラリーが「Original+」の1種類しか搭載されませんでした。

以下の記事にも書いているとおり、NTミクさんのOriginalの歌声ではV4XミクさんのSoftのような声が出せず、前の冬の曲ではV4Xミクさんに歌ってもらったということがありました。
初音ミクオリジナル曲『街の雪あかり』制作の裏側について

しかし今年に入ってNTミクさんもアップデートされ、「Whisper+」「Dark+」のボイスライブラリーがようやく追加されました。そこで、以前のV4XミクさんのSoftのような歌声が出せないかと試したところ、それに一番近かった「Whisper+」の歌声を採用することにしました。

「Whisper+」の素の声だとSoftよりも音が細く幼い声なので、Voice Voltageを上げて声を太くし、Super Formant Shifterを下げて少し大人の声に近づけています。以前の冬曲と聴き比べてもそこまで違和感はないくらい、V4XミクさんのSoftの声に近づいたんじゃないかと思っています。もしV4XミクさんのSoftみたいな声が必要という方がいれば、ぜひ試してみてくださいね!

あとは調声について少しだけ。

以前からそうなのですが、NTミクさんは本物の歌手のような歌い方を意識して調声しています。そのため、音域も無理のない範囲で設定することが多いのですが、今回は私の楽曲中で最高音を更新しました。(サビでG4に達します)というのも、少し狙って「合成音声っぽい声」を入れてみようと思ったからです。

ミクさんに限りませんが合成音声というものは一般的に、高音になればなるほどキンキンとした音になり、これを多用すると「いかにも合成音声っぽい声だな」と認識されがちです。しかし、これをあえて効果的に使う作者さんも結構見かけます。私はあくまで人間らしい調声を心がけているので今まで避けてましたが、サビを印象的にする意図であえて適正な音域から外れた音を入れてみました。その意図が上手く伝わっていれば良いですが・・・

今回のテーマは「雪と魔法少女」です

タイトルからしてそのまんまですが、「雪と魔法少女」がテーマになっています。

実は1年前に魔法使いをモチーフにした楽曲を制作していて、少しテーマが被っています。なお、そのときのことは以下の記事に書いてますので、興味があればどうぞ。
初音ミクオリジナル曲『MPがたりない!』のこた゛わりとNTミクさんについて

以前に制作した楽曲はビデオゲームのメタ的要素が盛り込まれた世界観だったので、こちらは絵本とかに出てきそうな童話のような世界観を目指すことにしました。向こうが現代風ファンタジーなら、こちらは王道ファンタジーと言ったところでしょうか。

子供でも親しみやすいような歌詞が、可愛らしい歌声ともマッチしていると感じていて、個人的に気に入っています。

余談ですが、サビの部分は当初は英詩にしようと考えていました。しかし、英単語がなかなかメロディに合ってくれないので、いつも通り日本語で行くことにしました。もしこの曲を聴いて「何か英語が似合いそう」と感じる方がいれば、私と波長が合うのかもしれませんね。

吹奏楽といえば「マーチ」でしょ!

名は体を表すと言いますが、曲名の通り「マーチ(行進曲)」になっています。

なぜマーチにしたのかは話すと長くなるのですが、もともと吹奏楽においてはマーチというものは一大ジャンルだったりします。吹奏楽の原型は「ブラスバンド」と言われていますが、そのブラスバンドは軍の音楽隊として重宝されました。行軍の曲としてマーチが演奏されたため、ブラスバンド向けのマーチが多く作られることになりました。

マーチはテンポが一定で初心者でも演奏しやすく、教育の場においても題材としてよく取り上げられます。特に日本における吹奏楽は学生の割合が多いため、頻繁にマーチが演奏されます。毎年開催される吹奏楽のコンクールにおいては課題曲にマーチが設定されることもあり、それほど吹奏楽とマーチは深い関わりがあるものなのです。

そんな背景もあり、実は以前からしゅいそ楽団名義でひそかに別のマーチを作っていました。しかし様々な事情があり、この曲は途中で制作を断念することとなってしまいました。

ただ、しゅいそ楽団名義でまた曲が作りたいという気持ちは諦めきれず、次は何を作ろうかと考えた末に出てきたのが、やはり「マーチ」でした。没になった曲から使えそうなアイディアを今回の曲に盛り込み、しゅいそ楽団式マーチが何とか完成したのです。

私が吹奏楽をやっていた頃によくやっていた課題曲のマーチ何かを思い出しながら、マーチで良く聴くようなフレーズをふんだんに盛り込み、いかにも「吹奏楽」なマーチに仕上がったと思います。

転調してトリオ(中間部)に入るのも割とベタな展開ですが、ここではLaLaLaでミクさんの歌声をオケに被せています。いわゆる「ヴォカリーズ」というやつです。もともとここはバックのオケだけにしようと思ってましたが、あまりにもミクさんの休みが長くなってしまうので声を入れました。中間部の性質として一旦落ち着く部分なのであえて歌詞はつけませんでした。手抜きではありませんよ!他に、ラップや掛け声をやってもらう案もありましたが、今回は王道なマーチで行きたかったのでこれは没になってます。

あとは転調を多用してます。私自身は転調を使いこなせないので多用することはあまりなかったのですが、変ロ長調ト長調変ホ長調ハ長調・・・と今回は多めに使っています。目まぐるしく雰囲気が変わっていく様子がまるで魔法みたいで、個人的には気に入っているのですが、皆さんはいかがでしょうか。

同じくしゅいそ楽団名義で制作した『ありがとうアニバーサリー』とは曲調が異なるように感じられるかもしれませんが、ポップスあり、マーチあり・・・と様々なジャンルの曲が楽しめるのも吹奏楽の魅力だと思います。

余談ですが、私はマーチ大好きっ子です。マーチを聴くとテンションが上がってしまいます。テンションが上がる曲は何ですかと聴かれれば、おそらく私はマーチと答えると思います。それくらい好きです。

動画は前回よりも手をかけました

今回は動画にもそれなりに時間をかけました。

というのも、元々この曲は去年の冬に投稿するつもりで作っていました。ただ、去年の冬は体調崩すことが多くて、結局完成できずで投稿できませんでした。

TwitterにWIP(制作過程。Work in progressの略)として、雪ミクさん(とユキネ氏)のイラストを去年公開したりしてましたが、実はこの楽曲の動画で使うために用意していたものなのです。

f:id:mahjong_medlay:20211221234450p:plain※イラストの制作過程より

そんなこんなで、今年はある程度制作が進んだ状態からスタートできたので、動画も少し時間をかけて作ることにしました。動画のセンスは相変わらずですが、以前の冬曲よりは動画用の素材をたくさん用意して、少しだけ豪華な作りになっています。あとは歌詞の表示のさせ方を変えたりとか。

また動画用の素材として、『スノーホルンコンチェルト』でもやりましたが、楽譜を登場させてみました。動画に使うために楽譜制作ソフトを使用し、実際にフルスコアを制作してたりします。やっぱり吹奏楽は楽譜としても残しておきたいですよね。

また、その楽譜については下記からダウンロードできるようにしました!アレンジの参考にするなり、演奏するなり、お好きに使ってください。

なまくら音楽室(MUSICからダウンロードできます)

最後に

久しぶりにしゅいそ楽団として楽曲を公開することができましたが、この曲を通して少しでも吹奏楽の良さが伝わってくれたら嬉しいです。もし、しゅいそ楽団としてまた曲をつくる機会があれば、また違った方向の曲で吹奏楽の魅力をお伝えできたらなと思います。

それでは、うちのミクさんの歌声が一人でも多くの方へ届くことを祈って・・・