はじめに
3年弱という長い制作期間を経て、ニコニコメドレー『ニコニコ動画的理論』はようやく完成しました!制作中の過程については下記記事を見ていただければと思います。
この記事では、企画をやろうと思った本当の理由や、このメドレーを通して各作者に伝えたいことなど、今まで明かしてなかった作品の裏事情について書き綴っていきたいと思います。どちらかというと作者に向けた内容が中心なので、聴き専の方にとってはちょっと興味が薄い記事かもしれません。
シリーズ最終回と完成版の違いについて
完全に作者向けの内容だと聴き専の方に申し訳ないので、まずは完成版の制作にあたって手を加えた部分などについて解説したいと思います。
シークレット枠の追加
まずはシークレット枠の2曲について。
動画でもちらっと触れましたが、2019年の制作当初は2007~2019年までの曲を偏りなく採用することを心がけていました。しかし制作が長引くと、2020年以降の曲が不足し、「古いメドレー」という印象が拭えなくなってきます。ネタバレ防止のために曲名はあえて伏せておきますが、新しめの2曲を採用したのはそれが理由です。
いずれもニコニコで人気の曲のはずなので、採用基準としては悪くないのではないでしょうか。
音源の手直し
音については少し手直しをしています。全体的にティンパニを追加したので、より「オーケストラらしさ」が出ました。
また、最後のシンセパートはどうもシンセ感が足りなかったのでシンセベルやアルペジエーターなどを追加してます。またこのパートのクラッシュシンバルはオーケストラの合わせシンバルに変更しました。
映像の手直し
映像について、最後のほうでコメントで意見をいただいたとおり、BPM表示を付けてます。これは160固定で変わらないのですが、どうやら需要があるみたいなのでアイディアとして採用しました。
この作品を通じてメドレー作者たちに伝えたかったこと
以降はほぼ作者向けの内容になりますので、興味がなければ読み飛ばしていただいても構いません。
制作を始めたきっかけについて
まず「私一人ではニコニコメドレーを作れないから」というのが一つの理由でした。
これは動画にも元々書いてましたが、実はこれ以外にも明かしてなかったもう一つ理由があります。
それは「他のメドレー作者にとって有益な情報を届けること」です。
・・・早速「?」となった方もいると思いますので噛み砕いていきます。
「聴き手がメドレーに求めているものは何か」を引きだしたかった
よく見かけるニコニコメドレー制作を解説した記事というものは、構成、選曲、編曲・・・など作り手目線で書かれることが多いです。ただその中に「聴き手がどういうものを求めているか」といったところに踏み込んだ記事はあまりないように思います。私が企画の中で必死にコメントを煽っていたのは、「聴き手がメドレーに対して何を求めているのか」、それを引きだすのが目的でした。
と言ってもこの記事を書いている時点ではメドレーはまだ投稿されておらず、実際に投稿されるまでこのメドレーのどこに注目されているかも分からないのですが、「聴き手がメドレーに対してどのあたりに意見を言いたいのか」については過去のコメントから推測することができます。
聴き手が求めるものはやっぱり「選曲」
ずばり結論から申し上げますと、聴き手がメドレーに意見したい項目は「選曲」です。
シリーズ通してついたコメントの割合を見ても、選曲に関するものは圧倒的に多かったです。
普通に曲追加リクエストも多かったですが、「こっちの曲よりもこっちのが良いんじゃない?」とか「マイナーな曲もアリだと思う」とか選曲リストに対しての意見などもあり、とても参考になりました。
このことからも聴き手は「選曲」を重視しており、これがメドレーの出来を左右すると言っても良いでしょう。もしこれから作品を作られる方がいれば、まずは選曲を見直してみてください。おそらく聴き手はここを一番よく見ています。
おそらく聴き手はアレンジに対して意見はしない
逆に聴き手がメドレーに対して意見が全く出なかったのは、「アレンジ」についてでした。
ただ誤解しないでいただきたいのは、「コメントが無い=聴き手が興味がない」とは限らないということです。完成したメドレー動画では、アレンジが良いとか音作りが良いというコメントを見かけることもあり、少なくともアレンジの部分を全く無視して楽しむということはしないでしょう。
アレンジに対して意見するには聴き手にも専門的な知識が求められるので、ここについて意見を求めるのは難しいかもしれません。もし率直に意見が欲しい場合は、知り合いの音楽仲間などに直接求めるのが良いでしょう。
意外な反応もありました
個人的に意外だったのは、「タイトル」についてほとんど意見が出なかったことでした。
タイトルというのは動画の顔になるわけですから、それを聴き手の責任に委ねるのは少々荷が重たかったかもしれません。これは動画投稿者が責任を持って付けるべきなのかもしれませんね。
一方、「動画」に対して意見をいただけたことも、個人的に意外だと感じました。
シリーズを続けていくと、聴き手の興味も薄れたのか目に見えてコメントも減ってきます。ただ、制作がRC(動画編)に差し掛かったころ、少ないながらもコメントが付くようになりました。
結局、空気の読めるWMP(Windows Media Playerの視覚エフェクトの愛称)と、曲名や出典のテキスト表示だけ、というシンプルなものに落ち着きましたが、コメントがあったからこそこんな動画になったのだと思います。当然メドレーは「音声」が重要だとは思いますが、作り手が予想している以上に聴き手は「映像」を見ている、ということが分かりました。
最後に
以上、聴き手を意識して制作する上で重要な項目をまとめてきましたが、あまり他者を意識しすぎるといい作品が作れないという方もいると思います。暴論になってしまいますが、反応は気にせず、自分の作りたいように作るのが一番だと思います。あくまでここに書いたものは制作方針の一つに過ぎない、ということを心に留めておいてください。
私は麻雀メドレー作者を自称しているので偉そうにニコニコメドレーを語れる身分ではないですが、もし制作する上でのヒントとなったのであれば、私としてはこの作品を作る「意味」は十分にあったと感じます。