「赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ企画」に応募してみませんか?~2度の受賞経験者が伝えたいこと
はじめに
今年も「赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ企画」が始まりました。
私しゅいそは運が良いことに、このコラボ企画で過去2度の受賞を経験しました。この記事ではその自慢話をしたいわけではなく、受賞経験者の私だからこそ伝えられることもあると考え、これからこの企画に応募しようとされる方々の手助けになればと、筆を執りました。
「赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ企画」とは
この記事を読まれている方なら既にご存知かもしれませんが、「赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ企画」は、北海道共同募金会、札幌市共同募金委員会、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が主催となり、「赤い羽根共同募金運動」を応援するイラストとテーマ曲をpiaproにて募集する企画となっています。
このコラボはピアプロの公式コラボの中でも歴史ある企画で、ピアプロキャラクターズ(初音ミク・鏡音リン ・鏡音レン・巡音ルカ・MEIKO・KAITO)が用いられたイラストやテーマ曲が、2012年に始まり毎年たくさん応募されています。また2015年からは雪ミク部門が増え、雪ミクのイラストも応募されています。
私の軽い自己紹介を
具体的な話の前に、まずは私について軽く自己紹介させてください。冒頭でも触れたとおり、私はこの公式コラボにおいて受賞を2度経験し、1度目は2021年にキャンペーンソングで、2度目は2024年に雪ミクイラストで受賞しました。
キャンペーンソングとイラストそれぞれで受賞したのは恐らく私が初めてですが、だからこそ音楽と絵の両面においてアドバイスできることもあるかと思います。
余談ですが私は音楽においても絵においても、インターネット上では無名な作者に過ぎません。オリジナル曲に付いたコメント数は他と比べて圧倒的に少ないですし、投稿したイラストがバズったこともありません。そんな無名な作者にも等しくチャンスがあるのが、こういった公募の魅力だと個人的に思っています。
応募作品が受賞されるためには
おそらくこの記事を読まれている方のほとんどは、どうすれば受賞できるのか、早く知りたいことだと思います。これについては採用されるコツがピアプロ公式から紹介されているので、まずは目を通されることをオススメいたします。
上記の記事ではあくまで公式コラボ全体の話でしたが、ここからは件の公式コラボに話を戻しましょう。毎年恒例で実施されているコラボなので、ピアプロ公式でも触れられている通り、過去の採用作品にそのヒントがあります。まずは面倒くさがらずに、過去何年間かの採用作品に目を通し、その傾向を探ってみましょう。
作品に目を通してみて、どういった傾向が見られるのか感じ方は人それぞれだと思いますが、参考までに私は「優しさ・明るさが感じられる作品」「様々な世代に親しみやすい作品」が傾向として多いように感じました。これはイラスト・キャンペーンソングどちらにも言えます。
2013年以降は募集テーマが設定されるようになりました。ポスターイラスト部門ではこのテーマに沿って制作する必要がありますが、キャンペーンソングと雪ミクイラストに関しては必ずしもこのテーマに沿う必要はありません。テーマに縛られずに自由に作品を作りたい方は、キャンペーンソングや雪ミクイラストで参加してみるのも良いでしょう。
結局どんな作品を作ればいいの?
これについては個人で答えを見つけなければいけない部分だと思っています。「こうすれば採用される」という明確な回答が存在するのであれば、同じ誰かが毎年受賞しているはずですから。なので代わりに、私が作品を作る上でどんなことを意識したのか、書いてみます。
私は前述のとおり、受賞も経験している一方で不採用も経験しています。1度目はキャンペーンソングと雪ミクイラスト両方での応募でした。このときは不採用という結果に落ち込んだものでしたが、今思えばこのときの経験で得られたものが将来の結果に繋がったのかなと思います。
まずはキャンペーンソング。不採用になったときは自分の個性を出そうと、他の方がやらないようなオーケストラ調の楽曲で挑戦しました。結果として個性は出せましたが、多くの人に親しまれるような作品であったかと聞かれると疑問に思うところです。
その反省を活かし、2度目の挑戦のときは親しみやすいロック調の楽曲で、メロディーもポップなものとなるように心がけました。実はこの楽曲、私はギターは弾けないので全て打ち込みで作っています。打ち込みには自信があったものの、そういった音楽が勝負になるのか正直不安でしたが、これが私にとって初の採用作品となりました。
次に雪ミクイラストですが、不採用のときはまだ絵の練習を始めたばかりで、受賞できる見込みもありませんでした。ただ、画力以外に課題点を挙げるならば、「構図がありきたり」「背景が寂しい」の2点にあると思いました。
その後の再挑戦では、構図に「三分割法」を取り入れ、自分なりにキャラや赤い羽根の配置を工夫しました。また背景に関しては自分なりに、手を抜かずに描くようにしました。後は「親しみやすい作品」を意識して、顔などは何度も描き直しました。正直なところ応募直後は採用されるとは思ってませんでしたが、結果的に受賞となりました。
こうして振り返ってみると、「自分の武器は何か」「不採用作品に足りなかったものは何か」について考えてみると、作品を改善するヒントに繋がるかもしれません。
審査員の方は恐らくここを見ています
これは2024年に雪ミクイラストに応募したときの話ですが、私よりも絵の上手い方が沢山応募されていて、私は正直「落選したな」と思いました。でも結果は見事に受賞となりました。
このことから、この公式コラボは「純粋な実力だけで審査されているわけではない」と、私は個人的に考えています。これは音楽にも絵にも言えると思います。ですから、どなたにも受賞のチャンスがあると考えています。私自身、過去2度の受賞も自分の実力で勝ち取ったものではなく、運が良かったからだったと思います。
もちろん作品には一定のクオリティが求められますが、そのクオリティ以外の部分を見られて採用作品が決定されているんじゃないかと思います。私は審査員ではないので「その何か」は分かりませんが、審査員の方々の心を掴むことこそが、受賞を目指す上で重要になるのではないでしょうか。
それと、これは作品の評価に直接関係しませんが、SNSを使われている方は普段からご自身の発言に注意を払われていますでしょうか。関係者の方々は、日常的にSNSをチェックされています。極端な思想に偏ったポスト、攻撃的なポストをした場合、それが関係者に届く可能性がゼロではないということは認識すべきです。審査基準は明かされてませんが、仮にSNSでの発言内容も考慮されているとしたら?あくまで仮の話とは言え、落選するリスクが少しでもあるなら、そのような行動は避けたいですよね。
実は要項には書かれていないことがあります
募集要項をしっかりと熟読するのはもちろんですが、実は要項には書いていないこともあります。
まず採用点数について。「1点+α(キャンペーンソングは2点)」と書かれていますが、例年はそれ以上の点数が採用されています。具体的に何点が採用されているかは後述のデータが詳しいですが、1点しか採用されない公式コラボに比べれば、まだチャンスがあります。(それでも毎年200点以上の作品が不採用となっており、難しいことには変わりありませんが)
次に特典について。イラストの受賞作品はポスター・クリアファイル・SONOCA・しおり・缶バッジに使用され、キャンペーンソングはSONOCAに収録されます。しかし2024年は雪ミクイラストの記念品として「アクリルキーホルダー」が追加されました。(これは2025年のさっぽろ雪まつり会場にて配布されました)これは受賞者の私にも知らされておらず、嬉しいサプライズとなりました。
また、採用者にはそれらの記念品と賞状が贈られることになっていますが、私個人としてはそれ以上に嬉しいと感じた特典があります。それはキャンペーンのCMに採用作品が使われることです。そしてそのCMは札幌市の中心部にある大型ビジョンで流れます。
赤い羽根×ピアプロコラボのCMがながれているということで、スマホでとってみました。
— しゅいそ (@mahjong_medlay) 2021年10月2日
なんと私の曲が札幌の街にながれています・・・!🎶
(動画の前半が城咲テトリさんの曲、後半が私のです)
私の夢がひとつかないました😊#赤い羽根共同募金 #初音ミク pic.twitter.com/GXdpZI6nEH
いかがでしょうか?多くの人が行き交う街中に自分の作品が流れるって、すごくワクワクドキドキするものです。特に札幌市在住の方にはぜひ、この感動を味わっていただきたいなと思っています。
参加する上での心がまえとは
ここまで明るい話題ばかり書いてきましたが、応募作品のほとんどが、数にして20点のうち19点は不採用となってしまいます。もしかしたら結果に落ち込んでしまい、作ることをやめてしまおうと考えるかもしれません。私も初めて不採用となったときは本当に落ち込みました。でも、せっかく始めた創作ですから、他人の決めた評価だけでやめてしまうのはもったいないと思いませんか?
そこで私は公式コラボに応募するとき、あらかじめ心がまえをしています。私は「目標を受賞に置きすぎない」こと、「不採用となった次の動きをあらかじめ決めておく」ことを意識しています。
受賞は最高の結果ではありますが、そこに目標を置いてしまうと不採用となったときに目標を見失い、次に向けて歩き出せなくなってしまいます。そのため私は目標を「受賞」ではなく「作品の投稿」に置くようにしています。それなら投稿ボタンを押した時点で目標は達成してますし、不採用はあくまで「結果」だと割り切ることができます。これが「目標を受賞に置きすぎない」ことです。
また、不採用が当たり前の世界ですから、それを前提に次の動きを決めておくことが必要だと思っています。例えば「不採用となった作品を分析して次に活かす」とか「不採用のことは忘れて別の制作を進める」とか何でも良いと思います。私も採用メールが届くまで、「不採用と分かったら、その作品をどこに投稿しようか」なんてことを考えたりして、「気にしない精神」で過ごしていました。
それでも不採用は耐え難いと感じる方もいるかもしれませんが、この公式コラボでは不採用作品にもスポットが当たる可能性があるのです。それが札幌市で毎年開催されている「イラストパネル展」です。
個人的に好きだなと思った作品を📷
— しゅいそ (@mahjong_medlay) 2024年12月20日
(soramiさん、透和すずさん、木乃伊みいらさん、篠咲紋音さん)#赤い羽根 #雪ミク pic.twitter.com/DBUZ2sR2gB
受賞作品はもちろん、不採用となったイラストの中から一部がイラストパネルとして展示、会場で流されるPVでも一部が使用されます。ポスターイラスト部門または雪ミクイラスト部門に応募される方は、こちらに期待して応募してみるのも一つの楽しみ方ではないでしょうか。
この公式コラボでは、絵が上手な人気作者ですら平気で不採用になったりします。なので、不採用だったとしても「実力が足りなかったから」と落胆せず、「自分は運が悪かっただけだ」と割り切ることも、心を保つ上では重要かもしれません。
受賞経験者が気を付けること
もしかしたらこのコラボで以前に受賞し、2度目の受賞を目標にしている方もいるかもしれません。私のような形の受賞は異例だとしても、2度の受賞自体はそこまで珍しいことではなく、調べた限りは私以外にも4名ほどいるようでした。
過去の受賞者の方が応募している例をたびたび見かけたりしますが、それでも容赦なく不採用にされていて、2度目の採用となるとハードルが上がっているように感じます。
先ほど挙げた4名も、ポスターイラスト部門で2度受賞しているのがたった1名のみ、他の3名はポスターイラスト部門と雪ミク部門それぞれで1度ずつの受賞というところからすると、同一部門での2度目の受賞は相当ハードルが上がっているのかもしれません。
ここで述べたのはただの憶測ですが、受賞経験者はまだ受賞していない部門への参加を検討してみても良いのかもしれません。
過去の傾向をデータで見てみる
「赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ企画」をデータで見てみます。過去10年の傾向をまとめたのが下記の表です。応募数と採用数から競争率(倍率)も計算してみました。
| 年度 | ポスターイラスト | 雪ミクイラスト | キャンペーンソング | ||||||
| 応募数 | 採用数 | 倍率 | 応募数 | 採用数 | 倍率 | 応募数 | 採用数 | 倍率 | |
| 2015 | 152 | 7 | 21.7 | 52 | 3 | 17.3 | 99 | 3 | 33.0 |
| 2016 | 190 | 7 | 27.1 | 59 | 4 | 14.8 | 66 | 3 | 22.0 |
| 2017 | 113 | 7 | 16.1 | 47 | 3 | 15.7 | 73 | 3 | 24.3 |
| 2018 | 112 | 8 | 14.0 | 76 | 3 | 25.3 | 71 | 3 | 23.7 |
| 2019 | 103 | 8 | 12.9 | 72 | 3 | 24.0 | 56 | 3 | 18.7 |
| 2020 | 115 | 5 | 23.0 | 92 | 3 | 30.7 | 83 | 4 | 20.8 |
| 2021 | 121 | 7 | 17.3 | 84 | 3 | 28.0 | 63 | 3 | 21.0 |
| 2022 | 112 | 8 | 14.0 | 95 | 3 | 31.7 | 75 | 3 | 25.0 |
| 2023 | 135 | 8 | 16.9 | 52 | 3 | 17.3 | 33 | 3 | 11.0 |
| 2024 | 159 | 9 | 17.7 | 96 | 3 | 32.0 | 45 | 3 | 15.0 |
ポスターイラストに関しては、ここ数年で応募数が増加傾向にありますが、キャンペーン地域の拡大に伴い受賞作品も増えました。そのため競争率自体はそこまで増えていないことが分かります。2024年は受賞作品数が9作品となり、過去最大となっています。
雪ミクイラストについては近年の応募数の増加が顕著です。2024年に至っては過去最大の応募数となり、過去で最も競争率が高い年となりました。(そんな年に受賞した私は、ただ運が良かったとしか言いようがありません)雪ミクに拘りがなければ、ポスターイラスト部門の方が比較的採用されやすいかもしれません。
キャンペーンソングは近年減少傾向が続いています。特に2023年の応募数はワースト2番目という少なさで、競争率では最初の年(2012年)すら下回り、過去最も競争率が低い年になっています。手薄な状況が続いており、ソング部門に関しては今がチャンスかもしれませんね。
最後に
この「赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ企画」ですが、簡単に受賞できるものではないということは述べたとおりです。私自身も受賞できるわけがないと、諦めようとしたこともありました。同じことを考えている方にこの言葉を贈って締めたいと思います。
「可能性がたった1%の無謀な挑戦だとしても、挑戦しなければゼロのまま」