しゅいその「140文字だけじゃ伝えられない思い」

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初音ミクオリジナル曲『北のいちばんぼし (for NT)』制作の裏側について

はじめに

以前に北海道をテーマにして作った「北のいちばんぼし」という曲を、初音ミク NTさん(以下、NTミクさん)にカバーしてもらいました。その制作の裏側について書いていきたいと思います。

この「北のいちばんぼし」という曲の制作の裏側については、以前に一度ブログに書いています。興味がある方は下記よりご覧ください。

mahjong-medlay.hatenablog.com

ただ、このときは楽曲を投稿するきっかけとなった北海道胆振東部地震での出来事をメインに書いており、楽曲についてはあまり触れられていませんでした。この記事では楽曲をメインに、詳しく書いていきたいと思います。

カバーバージョンを作るきっかけ

元々この曲は初音ミク V4Xが歌っているバージョンが存在し、それは2018年に公開した動画でした。しかし、詳細は伏せますが、とある出来事がきっかけで動画を非公開にせざるを得ない状況になってしまいました。件の動画でしか公開していない音源で、私以外は聴くことができない状況が続いていました。

私は基本的にネットに上げた自分の作品は削除しない主義で、初めてネットに投稿したオリジナル曲なんかも今も残っていたりします。そこで、何とかその音源を再びネットに復活させたいと思っていて、それが今回投稿したNTミクさんのカバーバージョンでした。

原曲『北のいちばんぼし』について

piapro.jp

元々この曲は、以前にpiaproで募集されていた「北海道 新キャッチフレーズ テーマ曲&イラスト大募集!」という企画に応募するために制作したものでした。私は今でもpiaproに作品を投稿していますが、そのpiaproの初投稿がこの曲で、思い入れのある作品でもあります。

話は変わり、当記事でも紹介した『もっと歌いたい』という曲があるのですが、ニコニコ動画では便宜上ミクオリジナル曲の2曲目としています。

mahjong-medlay.hatenablog.com

しかし、実はその曲よりも先に『北のいちばんぼし』が制作されており、正しくはこちらが2曲目だったりするのです。『もっと歌いたい』の記事でも触れてますが、その前にミクオリジナル曲を制作してからかなり間隔が空いており、久々に制作したのがこの曲で、『もっと歌いたい』共々ボカロP再出発のきっかけになった一曲です。

アレンジ版『北のいちばんぼし』について

今回投稿したのは、2018年に投稿したアレンジ版が元になっていて、その制作のきっかけは冒頭で紹介した記事に書いた通りです。

上で紹介した原曲音源をそのままニコニコ動画にアップロードしても良かったのですが、制作当時はまだVOCALOIDの扱いに慣れていなかったり、曲の出来に納得いってなかったりしたので、思い切って一から作り直すことに決めました。

元から原曲は北海道をイメージしたアコースティックな楽曲だったのですが、震災の経験から、より優しさを感じられるような楽曲にしたいと思い、アレンジを根本から見直しました。

楽器の数は敢えて減らし、より素朴な雰囲気が感じられるように、1コーラス目はボーカルとアコギのみ、という思い切った構成にしています。それ以降にはフルート・チェロも加わり、ボーカルを含めても4トラックのみというシンプルさです。

しかし、ここで1つ問題が浮上します。私は普段打ち込みで曲を作っていますが、こうやって楽器の数を減らすと打ち込み臭さや粗といったものがどうしても目立ってきてしまうのです。

そこで活躍したのが、当時新しく導入した高品質なソフトウェア音源でした。それ単体で鳴らしても割と気にならない音で鳴ってくるので、こういった個々の音が重視される曲では非常に重宝しました。もちろん機械的にならないよう、音のタイミングや強弱には気を付けて打ち込みしていますが。

調声についても、当時は初音ミク V4Xを導入してから2年が経過し、扱いに慣れてきたこともあって、ピッチやダイナミクスを弄ったりして、より自然な歌い方になるように気を付けました。

これが2018年投稿の初音ミク V4Xバージョンでした。

そしてNTミクさんカバーへ

事情があってそのアレンジ版を非公開にしたのは先に述べたとおりですが、公開から7年が経過し環境も変わっているので、同じ音源を再公開するよりは手を加えて音源を新しくしようと思い立ちました。そこで当然の流れというか、スポットライトが当たったのがNTミクさんでした。

今までこのブログで何度も紹介してきましたが、NTミクさんでしかできない表現に色々挑戦してきたこともあり、以前のバージョンではできなかった新しい表現で歌い上げてくれました。

アレンジについては2018年の時点でもう完成されている感もあり、ほとんど弄ってはいません。ただし、ミキシングについては根本から見直しており、それぞれの楽器の個性が出てくるよう、自然な音を目指して調整しています。特にアコギの音を新旧で聴き比べていただくと、その違いが実感できるのではないでしょうか。

あとは打ち込みだったフルートを、今回のバージョンではこっそりとウインドシンセサイザーの演奏に差し替えたりして、もう少しリアルな演奏に近づけたりしています。

イラストについて

毎回恒例になっていますが、NTミクさんカバーを制作するときはイラストレーターさんに制作をお願いしています。今回お願いしたのはDAYさんに描いていただきましたが、背景込みで1か月ちょっとという制作期間となってしまい、申し訳ないことにハードスケジュールになってしましました。

制作前に一度ラフを提出いただいてましたが、スケジュールが厳しかったのもあり、その後は極力リテイクなしで進めました。DAYさんは以前にもMVのイラスト制作もされた経験もあるそうで、この厳しいスケジュールの中でも遅れることなく、素晴らしいクオリティの作品を納品してくださいました。

やはり大人の事情でここには載せられないですが、雪ミクさんとユキネ氏の美しいイラストは動画でご覧ください。個人的には雪ミクさんとユキネ氏をイメージした、オリジナルのアコースティックギターがお気に入りです!DAYさんにはこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

本当は動画ももう少し細かくやり取りしたかったのですが、そんなこんなでスケジュールが厳しくなってしまったのもあり、私の方で手早く進めてしまいました。素朴な曲なので映像も極力シンプルに、そしてテキストは雪ミクさんやユキネ氏に被らないように、私なりに気を付けて作りました。

最後に

なんとか再公開に漕ぎつけた『北のいちばんぼし』、ふと見上げれば輝く夜空の星のように、思い出した頃に輝いてくれたら嬉しいという気持ちで投稿しました。

どうかこの曲と共に、北海道という地に思いをはせてくれたら、この上なく嬉しいことだと思っております。