しゅいその「140文字だけじゃ伝えられない思い」

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『麻雀的「まあめどAll Last」』あとがき~麻雀メドレーと私

はじめに

2010年1月8日、とあるメドレーが投稿されました。それが『麻雀のための組曲「まあめど」』(以下、まあめど)というメドレーでした。そしてその15年後、投稿されたのがこの『麻雀的「まあめどAll Last」』(以下、まあめどAL)というメドレーです。

「All Last」は麻雀における最終局を意味しており、最後のメドレーに相応しい記念作品にするべく制作しました。この記事では今回のメドレーの紹介と併せ、リメイク元の「まあめど」という作品について、そして私が麻雀メドレーとどう向き合ってきたかを纏めていきたいと思います。

ちなみに麻雀メドレーの振り返りは過去の記事でもやっているので、そちらも併せてご覧ください。

mahjong-medlay.hatenablog.com

メドレーの紹介

「まあめどAL」は「未来の私が改めて「まあめど」を作ったらどうなるか?」というコンセプトで制作しました。「まあめど」投稿から15年、その間に数々のメドレーやオリジナル曲を作っていく中で私も色々と成長してきました。その知識を活かして「まあめど」の完成形を目指したのが今回の作品です。

「まあめど」には耳コピミスが多く見受けられたので一から打ち込んでいます。(後で調べたところ当時のファイルは残っておらず、いずれにせよ打ち込み直す必要があったようです)またベース音についても耳コピしているものの、コードで色々遊びたくなり大胆に弄っている箇所があちこちにあります。

当初は「まあめど」をリスペクトして、そちらに忠実なアレンジになる予定だったのですが、15年もの歳月を経ての制作ということで「変化」が欲しくなり、思い切って「まあめど」とは大きく異なるアレンジになっています。この辺りについて詳しいことは後述します。

メドレーは大きく4つのパートに分かれていて、アレンジを明確に変えています。各パートは順に「マキナ」「フリーフォーム」「ガバ」「トランスコア」と名前が付いていて、それぞれのジャンルに影響を受けたアレンジになっています。制作にあたってはこれらのハードコアテクノを研究し、「まあめどAL」はそのエッセンスを存分に注ぎ込んだ「ハードコアテクノメドレー」でもあるのです。

オリジナルの「まあめど」と異なるのはアレンジだけでなく、重ねが無くなっている点も大きな変更点です。私は1曲ずつをしっかり聞かせたい主義なので、重ねは元々あまり多用しないこともあり、思い切って削除してしまいました。ただし34曲目から35曲目にかけて重ねを使用していますが、無理に弄ると「まあめど」の構成が崩れる恐れがあったためこの部分だけは残っています。

「まあめど」が生まれるまで

ここからは「まあめど」と言うメドレーがどのようにして生まれたのか、書いていきたいと思います。

「まあめど」を語る上では麻雀メドレーという一連のシリーズにも触れる必要がありますが、その麻雀メドレーの根底にはもちろん「組曲」の存在がありました。(当時はメドレー全般を指す言葉として「組曲」が使われており、以降はニコニコメドレーシリーズのことを「組曲」と記載します)私が初めて「組曲」に触れたとき、繋ぎの上手さや選曲に感動しつつも、自分で作りたいとまでは思っていませんでした。

そんな私が初めてメドレーを作ろうと思ったのは、私が麻雀の作業用BGMの動画に出会ったことがきっかけでした。これをメドレーにしたら面白いんじゃないか、ということで制作に着手しました。このときは調やテンポが原曲に合わせてコロコロ変わっており、例えるなら音楽番組などで聴かれる「世間一般がイメージするメドレー」の形式になってました。

転機となったのは2作目「組曲『麻雀MEGAMIX』」(現在は削除済)と2.5作目「組曲『麻雀Remix』」、「組曲」の影響を受けてメドレーの形式もそれに倣ったものとなりました。「組曲」というと当時からテンポがかなり高速のものが主流で、私が当時ハッピーハードコアというジャンルにハマっていたこともあり、2作目はハッピーハードコアで行くことになりました。

いわゆる「組曲」と比べると麻雀メドレーは「選曲」の魅力でどうしても見劣りしてしまいます。そこでアレンジの部分で勝負しようと思い、当時の私なりに気合を入れてアレンジを煮詰めていった記憶があります。

2作目・2.5作目投稿後、麻雀関連の曲がないか漁っているうちにさらに曲数が増え、3作目の制作が決定しました。X(旧Twitter)のアカウントもこの辺りで取得し、その制作の様子をポストしたりもしました。ちなみに私が現在も使用しているmahjong_medlay(メドレーの正しいスペルはmedley)というアカウント名はもちろん麻雀メドレーに由来しています。

3作目「まあめど」では敢えてハッピーハードコアを避けました。当時は「ハードコアテクノ=ハッピーハードコア」というくらいには主流で、ありきたりになるのが嫌だった私は当時ハマっていたマキナという音楽で行くことを思い付きました。しかしそれだけで10分弱持たせるのは難しかったので、ブレイクコアとかトランスコアとか色んなハードコアテクノを混ぜ、パート分けしていくことになりました。

タイトルに「組曲」を冠しているものの、いわゆる「バラードゾーン」というものがありません。当時のメドレーには当たり前に入っており、ありきたりを避けたかった私は初めて全編にわたってテンポを固定化。ハードコアテクノに特化したメドレーとなりました。

また制作環境も3作目からは本格的にDAWを導入し、過去に比べて大幅にクオリティアップしました。前述のとおり、「組曲」と勝負するにはアレンジの質をより高めていかなければ、という意識が常にあったように思います。

その後4作目の「麻雀的交響曲『すくえあ』」、5作目の「麻雀→こねくしょん」でもハードコアテクノ路線は継承されていくことになります。麻雀メドレーとハードコアテクノは大きく結びついているです。

なぜ「まあめど」なのか?

この作品が最後のメドレーと聞いて、もしかしたら「最後は新作で締めてほしい」とか「15年も前のメドレーを引っ張ってくるなんて」とか思われている方もいるかもしれません。

最後を新作メドレーで締めることは一応は考えたのですが、正直なところ麻雀メドレーの新作を作るにはあまりにも難しすぎました。というのも、麻雀メドレーで一番ネックになるのは「選曲」なのです。選曲が重要な「組曲」ですが、実は麻雀メドレーも同じ悩みを抱えているのです。

縛りメドレーだと「アニソン縛り」「音MAD縛り」なんかがよくありますが、「麻雀縛り」となると数が相当絞られてきます。ですから新曲を採用するためには「麻雀のメディア化」を待つほかなく、十分な数を集めるには5~10年という間隔を空けねばなりません。それに加えて、私が麻雀メドレーでやりたいことは5作目の「麻雀→こねくしょん」でやりきった感があり、新作を作る気力は既に失われていました。

話は変わりますが、私はときどきニコニコ動画にアップロードした動画の再生数をチェックしています。メドレーに限ると月で5~10程度ですが今も再生されていたりして、合作メドレーや「ニコニコ動画的理論」(私が初めて制作した「組曲」)なんかに混じって再生されていたのが意外にも「まあめど」なのです。

「まあめど」は制作環境が変わったばかりのときに作ったメドレーで、今聴くと色々と拙い部分が気になってしまいます。そんな拙い作品なのに今も再生されている現実を見たとき、「今も聴いてくれている方に恩返しがしたい」という気持ちが湧いてくるようになったのです。

最初は軽い気持ちで冒頭16小節くらいを打ち込んだだけでした。すると次第に作業が思った以上に捗ってしまい、気づけば尺は2分くらい、試聴版を上げられるくらいまで進んでいました。このときはそこまで本気で完成させるつもりはなかったのですが、X(旧Twitter)やニコニコに試聴版を上げたら「完成させたい」という意識が強くなるようになりました。

そしてリメイク制作へ

実は「まあめどAL」にはプロトタイプ版が存在しまして、前述の試聴版がそれにあたります。このときは「まあめど」に忠実なアレンジ、いわば耳コピしただけのようなメドレーでした。

過去に作った「組曲『麻雀Re:Remix』」という作品があるのですが、これは前述の「組曲『麻雀Remix』」のリメイクで、当初はこの流れを汲むような形でリメイクを行う予定でした。

最初はノリノリで作業していたのですが、あるとき「今の私が改めてメドレーを作るとしたらこんなアレンジにするだろうか、いやしないだろう(反語)」ということで没になり、改めて作り直すことになりました。

そこでハードコアテクノを聴き漁って音楽を研究し、「らしさ」を私なりに追求していきました。音数を削ったり、マキナっぽい音を入れたりハードコアテクノの解像度を上げていくようにしました。

「まあめど」には展開の移り変わりが分かりづらいという反省点があったので、元々含まれていたマキナとトランスコアはそのままに、新たにフリーフォームとガバを加えてパート分けを行い、展開が分かりやすくなるように再構成を行いました。特にキックの音に注意していただくと、その変化が分かりやすいと思います。

前述のとおり麻雀メドレーのシリーズを通してハードコアテクノを意識していますが、複数のハードコアテクノの要素が組み込まれたのは実は「まあめど」だけだったりします。そんなわけで「まあめど」の魅力を伝えるためにはハードコアテクノのアレンジメドレーとして質を向上させるほかなく、制作の時はひたすらそれを意識してました。

余談ですが「まあめど」のタイトルにあった「組曲」は「まあめどAL」では消えています。タイトルが長くなるのが嫌だったということもありますが、最近のメドレーではタイトルに「組曲」が入ることがほとんど無くなりました。そもそも「まあめど」では「組曲」の方向性とは違うものを目指していたこともあり、リメイクではタイトルを変えています。他に「シン・まあめど」というタイトル案もありましたが、しっくりこなかったので没になりました。

お前・・・消えるのか?

消えません。(断言)

最後のメドレーと書きましたが、メドレー作者としては無期限休止と言う形であって引退ではありません。以前に5作目の「麻雀→こねくしょん」を投稿したときですが、投稿前の時点では既に引退を宣言していたのに、そんな中での復活の発表となってしまったことがありました。引退と言っておきながら復帰するというのはいまいち格好付かないので、休止という形にしました。とりあえず今はメドレーを作る気が無い、ということだけは確かです。

メドレーを作らないとは言えメドレーに関わる気が全くないわけではないので、もしイラスト制作などで依頼があれば喜んでお手伝いさせていただきます!(宣伝)

もちろんメドレーは無期限休止と言っても2月にはミクさんのオリジナル曲の投稿も控えてますし、他の活動は今まで通り続きます。私のやることリストからメドレーが消えるだけです。メドレー作者としての私はいずれ忘れ去られていくかもしれませんが、メドレー以外の形でこれからも作品を生み出し続けていきたいと思います。

最後に、長々と読んでいただきありがとうございました!